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ゴルフがスポーツと呼ばれず、ゲームと呼ばれる理由をあなたは真剣に考えてみたことがあるだろうか?私の理解は、他のスポーツに比べて、フィジカル・パフォーマンス(ゴルフで例えてみれば飛距離に置き換えられるでしょう)の良し悪しが勝負の行方を左右する割合が比較的低く、飛距離が無いプレーヤーでも、作戦によっては十分勝つことの出来るものだからでしょう。

そうした意味では、囲碁やビリヤードなどと共通する要素が多いのかも知れません。一打一打が全体のラウンドを構築しているものの、どれか一打の素晴らしいショットが全てを決定付けると言うことにはなり得ません。

ゴルフというゲームが行われる環境と、ゴルフのゲームのルールを考えてみると、実際にゴルフのゲームが何をプレーヤーに対して要求しているのかが明らかになると思います。

まず、ゴルフは一打でそこそこの結果を引き出すショットをしなければなりません。しかし、実際にはかなりの許容が許されていて、ミスをしても、大怪我にならないミスである限り、また、ミスが続かない限りゲームのスコアーに影響を及ぼすことはありません。

反対に、どれだけ素晴らしいショットを打とうが、そこそこのショットをラウンドを通じて行うことが出来なければ、そして、大怪我を引き起こすショットを打ってしまってはスコアーが良くなりません。

だからと言って、飛距離が不必要なのかと言うと決してそうではなくて、「一打でそこそこのショットを引き出し、大怪我をしない範囲での飛距離」はもちろん有るに越したことは無いのですが、あくまでも飛距離が第一義になるものではありません。

また、ゴルフは2つとして同じ状況からのショットは無いと言われるように、その場その場での状況判断と適応力をゴルファーに要求しています。

ルールでも、14本のクラブの使用が認められていること自体が、スポーツにしろゲームにしろ非常に珍しいものと言うことができるでしょう。

そのルールをアドバンテージとするのか、ディス・アドバンテージとしてしまうのかは、ゴルファーの考え方に大きく影響されます。私の表現をさせていただければ、14本のゴルフ・クラブを武器として使うのか、凶器にしてしまうのかは、ゴルファー自身の考え方次第なのです。

以上のことを簡潔に説明してみると、「ゴルフはゴルフ・コースに対し、戦略を練り、ある程度の正確性と反復性と、それらを阻害しない範囲での飛距離を持って、高い判断力とその場での適応力を、14本のクラブを有効に組み合わせてできるだけ少ないストロークでプレーするゲーム」ということになります。

かなり、ゴルフのゲームの本質が明らかになってきました。私が考えるゴルフとは、常にこれらの要素を踏まえた上で全てのことを行うと言うことです。

それを考慮すると、巷に出回っている「ドライバーの打ち方」、「FWの打ち方」、「ロングアイアンの打ち方」〜「パターの打ち方」という発想そのものが、ゴルフのゲームに対しては大きなディス・アドバンテージになることがわかるであろう。

私が行った博士論文「エリート・プロ・ゴルファーのゴルフ・スウィングの共通要素」では、ドライバー、ロング・アイアン、ショート・アイアンのスウィングのパターンを3次元解析をして、共通の要素を定義したのですが、巷で言われているような角度や形としての相関関係は認められず、動きの根底をコントロールしている、タイミングなどの要素に番手にかかわらず高い相関関係が認められたことからも、エリート・プロ・ゴルファーは番手にかかわらず同じ動きのメカニズムでスウィングをしているということが科学的に検証されているのです。

もちろん、実際に動きを根底でコントロールしている要素を検証せずに、結果的に表面上に現れる形のみを検証したら番手ごとに異なった動きをしているかのように見えるのも当たり前のことなのです。

つまり、ゴルファーが同じ動きをしたとしても、長さ、重さや、動的バランスのなどの物理的特性の異なるものが運動をするのですから、結果としての形は異ならないわけが無いのです。

逆に、結果として表面上に現れる形を番手にかかわらず同一にしようとすれば、中心で原動力を作っているゴルファーの動きは番手によって変えなければならないと言うことはお分かりになると思います。

ゴルフ・クラブの説明の中でもう少し詳しくお話をしますが、ゴルファーは少なくとも大きな誤解を2つしているということを認識しなくてはなりません。

一つはゴルフ・クラブが番手にかかわらず同一のバランスを持っていると信じていること。もう一つは、ゴルファーは番手にかかわらず表面上に現れる結果としての角度や形を同一にすることでゴルフのパフォーマンスが向上すると信じていることです。これらは、実際降って湧いた誤解ではなく、ゴルフ業界全体がそのような誤解を招くような説明をし、それがいかにも真実であるかのように表現をしているということが、その誤解を助長していることも否めないのです。

少し、話が脱線しましたが、一人一人のゴルファーが全てを「鵜呑みにする」癖を正す必要があることを認識していただきたいのです。

さて、ゴルフのゲームの本質を考慮すると、練習の最終目標は常に高い適応力をある程度の正確性と反復性を持てる事とします。そして、そのくくりの中での飛距離の獲得ということが必要になるでしょう。

もちろん、全ての要素をなるべく同時に獲得するために動きそのものを形成する「動きの優先順位」を常に明確にし、優先順位の高い要素からの習得をし、それらを崩すことなく優先順位の低い要素を付加してゆく事が重要となります。

それを考えると、ゴルファーとしてのレベルによって、練習の目的は明らかに区別されるべきで、優先順位の高い動きの要素を確立していないゴルファーがある程度の正確性と反復性、言うまでも無く飛距離を目的として練習をすべきではないのです。

一方、優先順位の高い動きの要素を既に確立したゴルファーは打ち方や動きそのものを練習することは最小限に留め、一打で高い適応力を引き出せるゴルファーになることを目的とした練習にシフトをしてゆくことが重要視されるのです。

ゴルフにも近年「科学的」とか「理論的」という言葉が頻繁に登場するようになりましたが、高速度カメラや、動作解析のソフトの充実は確かに認められますが、実際にそれらを使用している人間側の質は何ら向上していないのが現実です。

厳しいことを書くようですが、技術の進歩を生かすも殺すも、それらの技術を使用する者のレベルにかかっているのであり、相も変わらず角度だ形だと言っているのですから、何の進歩も無いのです。

ゴルファーの皆さんには、是非「新い」とされるものの有効性を、自分自身で判断できるようになっていただきたい。私は、ゴルフ業界で仕事をしているものの、ゴルフ業界有ってのゴルファーだとは考えず、ゴルファー有ってのゴルフ業界だと思っている数少ない業界人の一人なのです。

ゴルファーをカモにするのではなく、ゴルファーが長期にわたりゴルフを楽しく、心地よく、高いパフォーマンスを持って、ゲームを楽しめるようになることこそが、ゴルフにとっての最良のことだと思っているのです。

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